カナの婚宴の奇跡のイコン             


カナの婚宴の奇跡

 三日目に、ガリラヤのカナで婚礼があって、イイススの母がそこにいた。イイススも、その弟子たちも婚礼に招かれた。
 ぶどう酒が足りなくなったので、母がイイススに、「ぶどう酒がなくなりました」と言った。
 …そこには、ユダヤ人が清めに用いる石の水がめが六つ置いてあった。 …イイススが、「水がめに水をいっぱい入れなさい」と言われると、召し使いたちは、かめの縁まで水を満たした。イイススは、「さあ、それをくんで宴会の世話役のところへ持って行きなさい」と言われた。
 …世話役はぶどう酒に変わった水の味見をし…花婿を呼んで言った。「だれでも初めに良いぶどう酒を出し、酔いがまわったころに劣ったものを出すものですが、あなたは良いぶどう酒を今まで取って置かれました。」
 イイススは、この最初のしるしをガリラヤのカナで行って、その栄光を現された。
 (ヨハネ伝2章1〜11節/正教会の婚配式で読まれる福音)

♪ テーブル

 最後の晩餐を思わせる半円形のテーブルが大きく描かれています。古いイコンでは、長方形ではなく半円形か円形となっていて、この形は史実に近いと当時に、調和を意味したり天の世界を暗示したりします。テーブルの上には、肉やパンや野菜などが並べてあります。面白いのは、大根(と思われる)が何本かそのまま載っているところです。

♪ 花婿

 テーブルの真ん中にいて、婚礼の服をまとい、冠をかぶっているのが花婿です。当時の習慣にならって花嫁は描かれていません。花婿の冠は、聖書時代の風習でもあり(イザヤ60:10や雅歌3:11を参照)、正教会の婚配機密(結婚式)にも欠かせない物です。正教会ではこれを王としての冠、または勝利者(致命者)としての冠と意味づけます。結婚する二人に、生活をきちんと司り、信仰を守り抜く力が与えられることの象りです。ちなみに、このカナの花婿は、後に十二使徒の一人となった熱心党のシモンだったと伝統的に言われています。

♪ ハリストスとマリヤ

 テーブルの向かって左端にハリストスがお座りになり、その傍らにその母マリヤが立っていて、会話を交わしています。この奇跡におけるマリヤの役割を私たちに教えています。ハリストスの右手は軽く伸ばされて、水を注ぐ召使いを祝福しています。ハリストスは「水を入れて」「もっていきなさい」と言われただけで奇跡を行ったのです。

♪ 水がめ

 聖書の記述のとおり、六つの水がめがあり、その中の一つに水が注がれています。これらの水がめは「旧約」や「律法」や「ユダヤ教」を意味しています。水からぶどう酒への変化は、旧約から新約への変容を意味しており、またハリストスが自然を摂理する創造主・神であることの証しでもあり、そしてパンとぶどう酒がハリストスの尊体尊血になることの預象でもあります。

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