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さてさて、温厚で柔和な主婦赤染衛門。戦うキャリアウーマン清少納言。人気の女流作家にして職業婦人紫式部。美人で奔放な宮廷のアイドル和泉式部・・・でも・・おばさん度はますますパワーアップ?
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11月のとある日・・・四才女たちは宇治川に船を浮かべて、優雅?な休日を過ごそうといたしましたが・・・。
清・ちょっと、何でこんなに寒いのよ!
和・だぁれ、こんな時に船遊びしようなんて言いだしたのは?
赤・あの人よ、あの人(と紫式部を見やって) 紫さん、なんとかおっしゃいな。
紫・う〜がるるる・・。ざぶい〜!酒をくれ! 熱燗だあ!
というわけで、屋形船の中、でっかい火鉢を囲み、つまみのするめをあぶりながら、好みのお酒を手にした才女たち、一息ついてしゃべり始めます。
和・ところで、さっきの話だけど、あたしたち、何でこんな所にいるの?
清・どうせこの人が「宇治十帖」の世界に浸りたかったのよ。
紫・ふん。皆さん勝手なこと仰るけど、私はね、せっかくの休みだから、みんなに鵜飼の鵜をみせてあげようと連れて来
たんじゃない。
和・う? もしかして岸の小屋ん中に並んでいるあれのこと? もう今頃は鵜はお休みじゃないのぉ? あんな寒そうな
顔してみんなじーっとしてるわよ。それに、こんな季節はずれに鵜飼なんかやってるの?
赤・わざわざ見せたいってんなら、予約でもしてくれればいいのにさ。
紫・あんたに言われたかないわよ。こないだの蹴鞠リーグの日本シリーズの切符とってあげたこと忘れたの?
赤・あらら、そういや、あんときはありがとね。今年の蹴鞠リーグは久々にもりあがって楽しかったわねぇ。阪神虎等組
が18年ぶりに優勝したし、このあと20年ぐらいは優勝できなくても、その分今年騒いだから、まあよしとしましょう。
清・星野の君の後釜が岡田の君とはねぇ。てっきり吉田の大殿だと思ったのに。
赤・あんたのおじん趣味にも困ったもんだわねえ。
和・あたし、星野の君とはグラビア撮影でお目にかかって、お食事ご一緒したけど、ほんっと素敵な方よぉ。
(ニタリと微笑む)。
紫・和泉ちゃん、あんた確か巨人戦の始球式にも出てたんじゃないの?すずしの一重だけの姿でさ・・。はらはらしたわ
よ。見えそうで(でも見えなかったの。残念だわ)。どこの「お座敷」でも呼ばれたら顔出してんのね。あんた、一体どこ
のファンなの?
和・あらん・・。だってあれは辰則ちゃんに来てって頼まれたんだも〜ん。彼とは、あたし、幼馴染でしょ。
清・あいかわらず節操のない子だよ、ほんと。でも、原の君と幼馴染って、あんたって意外と年増なのね。
和・うふ。時を超越して美しいんだもん。だから永遠のアイドルなのっ。
とかいいつつ、ハイピッチでお酒をあおる?才女たち、だんだん怪しい雰囲気です。
紫・う〜寒い。こんなに飲んでるのにちっとも暖ったまらない。腰巻をもう一枚巻こうかしら。
赤・それより裏起毛の股引が正解よ。私のを貸してあげようか?
清・よくそんなもん持ってきてるわね?それ、もしかしてご主人の?
赤・何言ってんの。色を見て。きれいな緋袴でしょ。女物よ。これこそ中年の必需品よ!
和・まさか遠赤外線の小袖なんか、下に着てるんじゃないでしょうね。
赤・清・紫・大当たり〜!
和・はぁ〜、さすがに全身でおばさんしてんのね。
清・何よ。寒い時に暖かいカッコしてどこが悪いのよ。私なんか駱駝の大袴二枚重ねよ。冷えは女の大敵なんだから。
赤・あんたも冬なんだから何時までもそんな薄い下着なんぞ着てないで、ババ小袖にしなさいっての!
和・あたしババ小袖着るくらいなら肺炎で死んだほうがましだわ! ぜーったいあんな色気のないもの着ないわよ〜
だ。女と生まれて、いつ勝負するかわかんないってのに、いざって時にババ小袖じゃ、話にもなんないわ。男殺しの必
殺アイテムったら、黒の網タイツよ! なんたって「愛の水中花」!(といいつつ裾をまくってポーズ)
赤・紫・清・(ドテッ!)
紫・ごほごほん・・。むせちゃったわ・・。でも、浮船もどっちかっつうと、あんたみたいに薄い下着を着るタイプだわね。
清・いよいよ「宇治十帖」ってわけ? 私、あの話は嫌いだけど、中でもあの薫っての? あいつにはがまんができない
わ。いくら宇治だからってウジウジしすぎよ。
和・そうよそうよ、うだうだ言う前にやっちゃえってのよ、ヒック。
赤・まあ、若い子は性急ね。でも、薫は、自己中で、相手の女性の事なんか考えてないわよ。
紫・フン。何よ、みんなしてえらくケチをつけてくれるじゃない。あれはあれでいいの。私はちょっとした近代小説を書い
てみただけなんだから。
赤・それにしたって登場人物がみんなして不幸になるってのはいただけないわ。
清・薫もだけど、仁王の宮っての?
和・仁王じゃないわ。そんなマッチョじゃなくて、臭うの。
紫・仁王だの臭うだの、下品にしないでね! 匂うのよ。えもいわれぬ香を焚き染めているの!
清・はいはい・・そのフレグランスプリンスも情けない子よねえ。ぴよぴよ泣きすぎよ。源氏も気に入らん男だったけど、
第二第三世代の男どもはもっと情けないわ。
和・あたし、頭中将なら浮気しても良かったんだけど、薫みたいに女扱いのド下手な男とはごめんだわ。ヒック・・。
清・薫ってば、最高に縁起の悪い男だわ。こいつにかかわっちゃみ〜んな不幸になるのよ! それにイラつくったら、
伊良部といい勝負だわさ。ううう・・・第6戦に伊良部を出すと負けるって、私があんなに言ってたのに、星野の君った
ら、もうやだ。相手の和田の君も縁起が悪いやつだったけど・・。
和・和田の君って、ちょっと可愛いわね。ああいう若い子もなかなかだわ・・ヒック。クチョン。あら、風邪かしら。
紫・そんな薄着してるからよ。ホントに寒くなってきたから、この近所に道長の殿のゴージャスな別荘があるの。そこで
ゆっくりしない? 私の顔で、スパもOKなの。あったまるわよ。
赤・和・まあ、いいわねえ。お料理も、顔で安くなるんじゃないの?
清・ええっ? 道長んとこなんて、あたしゃ行きませんよ。
赤・あら、そう言わずに・・。今はシーズンオフだから、すいてるんじゃないの? 顔が知れるのがいやなら、ちょっとほ
っかむりでもしてさ。
和・それ面白いわ。大浴場でほっかむりすれば、顔が蒸されて小顔になるかもよ。
清・まあた、この子はなんて失礼なこというのよ! アタシの顔が大きいのは、世間の荒波や寒風に、顔をあげて堂々
と 生きてきたからよ!それを何さ!
紫・本当にそうよ。この人の中宮様は落ちぶれ、いや逼迫・・いえいえ、とにかくそれでも節を曲げない、ご立派な
顔なのよ。
和・ほんとご立派! 少納言さまだけじゃなくて、皆様方もそれなりにご立派だわ。でも、殿方はご立派な顔より美しい
顔が好きなのよね・・。わたし、そのスパでこの若くて美しい顔をもっと磨きたいわ。
赤・紫・清・どーせ、あたしたちはおばさんですよ! ちょっと、あんた何時もいつも、どうしてそんなに年増を、いえ年長
者をバカにするのよ!
和・きゃー! 狭い船の中で暴れないでよ! あれえー!
赤・あわわわ!
紫・ひええー!
清・どわ〜!
どっぼ〜ん!
かくして、才女たちは、はからずも全員で浮船体験をしたのでした・・・・。(H)
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